2026年4月30日
皆様、こんにちは。瀬谷アクロスデンタルクリニックです。
以前、インフルエンザとお口のケアについてお話ししましたが、今回はもう一つの重要なテーマ、「口内炎とウイルス」について解説いたします。
▶︎以前のコラム:インフルエンザ発症率が1/10に!? 今年の冬は「歯…」はこちら
疲れた時などにできる一般的な口内炎(アフタ性口内炎)は数日で自然に治ることが多いですが、実は「ウイルス感染」が原因で引き起こされるお口のトラブルがあり、時には全身の健康にも大きな影響を及ぼすことがあります。
ウイルスが引き起こす激しい口内炎と全身症状
代表的なものに「単純ヘルペスウイルス」による口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎)があります。
これは単なるお口の荒れにとどまらず、歯茎全体が赤く腫れ上がり、多数の潰瘍(ただれ)ができるのが特徴です。痛みが非常に強く、飲食や会話が困難になるだけでなく、39度近い高熱や強い全身の倦怠感、顎の下のリンパ節の腫れを伴うことが少なくありません。
お口の中の局所的なウイルス感染が、全身状態の悪化へとダイレクトに繋がってしまうのです。
「虫歯のような激痛」が帯状疱疹の初期サイン!?

もう一つ、患者様から驚かれることが多いのが「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」とお口の関係です。
帯状疱疹と聞くと、体の皮膚に赤い発疹や水ぶくれができる病気というイメージがあるかもしれません。
しかし、実は皮膚に症状が出る数日前から、お口の中に「先行するサイン」が現れるという明確な医学的根拠があります。
日本大学歯学部などの口腔顔面痛研究でも報告されている通り、顔面領域に発症する帯状疱疹の初期症状は「持続的で激しい歯痛」として現れることが多くあります。
ウイルスがお顔や歯の感覚を司る神経(三叉神経)に沿ってダメージを与えるため、初期段階では水ぶくれ等の粘膜症状が全くないのに、健康な歯が「重度の虫歯」のようにズキズキと痛むのです。
数日経ってからようやく、口腔粘膜や唇、顔の皮膚に特徴的な水疱が形成されます。
「急に歯が痛くなった」と駆け込んでこられた患者様の真の原因が、実は帯状疱疹などのウイルス疾患であった、というケースは決して珍しくありません。早期発見において、歯科医院は非常に重要な役割を担っています。
二次感染を防ぐためのプロフェッショナルケア
ウイルス性の口内炎や水疱ができてしまった時、痛みのあまり歯磨きやうがいがおろそかになりがちです。
しかし、お口の中が不潔な状態になると、ただれた粘膜から細菌が侵入し、「二次感染」を起こしてさらに症状を重症化・長期化させてしまいます。
ウイルスの活動を直接抑えるのはお薬の役割ですが、お口の中を清潔に保ち、細菌の増殖を防いで二次感染を予防することは、私たち歯科医院の大切な役割です。
おわりに
「ただの口内炎」「ただの歯痛」と思っても、その裏にはウイルス感染などの全身疾患が潜んでいることがあります。少しでもお口に違和感や長引く痛みがある場合は、自己判断せずにご相談ください。
当クリニックでは、その痛みの原因が「歯」にあるのか、それとも「ウイルス」など別の要因なのかを的確に見極めることを第一としております。ウイルス性の疾患であると診断できる場合には、当クリニックにて症状を和らげるお薬(内服薬や外用薬)の処方も可能です。
また、より専門的な検査が必要な場合や診断が難しいケースにおいては、速やかに適切な高次医療機関へご紹介する連携体制も整えております。
▶︎関連コラム:知っていますか?高次医療機関への「紹介状」の… はこちら
強いお痛みやご不安を抱えて来院される患者様に少しでもリラックスしていただけるよう、温かく安心できる空間づくりも大切にしています。どのような些細な違和感でも、お口のトラブルはどうぞ瀬谷アクロスデンタルクリニックへご相談ください。
【参考・引用文献】
1.日本口腔顔面痛学会 編『非歯原性歯痛診療ガイドライン 改訂版』(医歯薬出版)
帯状疱疹に伴う三叉神経領域の持続性神経障害性疼痛(非歯原性歯痛)の診断基準および初期症状に関する臨床ガイドライン。
2.日本大学歯学部 口腔顔面痛研究分野等の臨床知見
口腔顔面領域における原因不明の疼痛(神経障害性疼痛等)に対する鑑別診断と、ウイルス性疾患との関連性に関するエビデンス。
3.佐藤 仁 ほか「非歯原性歯痛を伴う帯状疱疹後神経痛に移行したと考えられた再発性帯状疱疹の1例」(『日本口腔顔面痛学会雑誌』9巻1号, 2016年)
帯状疱疹ウイルスによる神経障害が、歯の痛み(非歯原性歯痛)として先行・後遺するメカニズムに関する症例報告。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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