2025年10月21日
歯科医院で「歯周病」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、この病気が私たちの想像以上に「静かで、恐ろしい病気」であることは、あまり知られていません。
私たちが患者さんにご説明する際、「歯周病はSilent Disease:静かなる病気と表現できます」とお伝えすることがあります。これは、なぜでしょうか。
なぜ「静かなる病気」と呼ばれるのか
歯周病は、歯ぐきの炎症から始まり、最終的には歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていく感染症です。
多くの方が「歯周病=歯ぐきが腫れて痛む」というイメージをお持ちですが、これは誤解です。初期〜中期にかけては、痛みや激しい腫れといった強い自覚症状がほとんど出ないのが、この病気の最大の特徴です。
歯ぐきから少し出血する、といった軽微なサインは見られることがあっても、「生活に支障が出るほどの痛み」は、病気がかなり進行してからでないと現れません。そのため、ご自身では気づかないうちに、病気が静かに進行してしまうのです。
糖尿病や高血圧との共通点
この「自覚症状が出づらい」という点で、歯周病は糖尿病や高血圧といった生活習慣病と非常によく似ています。
これらの病気も、「気づかないうちに体の中で進行し、深刻な事態を引き起こす」という共通点を持っています。症状が出た時には、すでに治療に時間と費用がかかり、元通りの健康な状態に戻すことが難しくなっているケースが多いのです。
歯周病を単なる「お口の中の病気」ではなく、体全体の健康に関わる重大な「静かなる病気」として捉え直すことが大切です。
歯周病の進行は「後戻りのできない階段」
さらに深刻な共通点は、「一度悪化すると、元の健康な状態に回復することが望みづらい」という点です。
私たちは、歯周病の進行を「後戻りのできない緩やかな坂を一歩一歩降りていく」ようなものだと例えています。
進行を止め、現状を維持するための治療は可能です。しかし、一度溶けてしまった歯を支える骨や、失われた歯周組織は、完全に元の健康な状態に元通りに回復させることは非常に難しいのが現状です。階段を降りてしまったら、再び一歩一歩上がって元の段に戻るのは困難なのと同じで、失われた組織を取り戻すのは容易ではありません。
まとめ:静かな進行を防ぐために
歯周病が「静かなる病気」であるからこそ、最も重要になるのが「早期発見と予防」です。
自覚症状がないからといって、安心しないでください。私たちが専門的な検査で進行度合いを確認し、適切な処置を行うことが、将来あなたの歯を守る唯一の方法です。
「もしかしたら…」「最近歯医者に行っていないな」と感じた方は、症状の有無にかかわらず、ぜひ一度当クリニックの定期検診にお越しください。
「静かなる病気」を「確かな健康」に変えるために、私たちがお手伝いさせていただきます。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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