2026年2月20日

その「すきっ歯」、実は良いサインかもしれません
「子供の歯がすきっ歯なんです。矯正が必要でしょうか?」
「他の歯医者さんで『将来歯並びが悪くなるかも』と言われてしまって…」
当クリニックでも、このようなご相談をよくいただきます。
一見、隙間なく真珠のようにきれいに並んだ乳歯は美しく見えますし、逆に隙間が空いていると「このままで大丈夫かな?」と心配になる親御さんのお気持ちはとてもよく分かります。
しかし、私たち歯科医師の視点からすると、乳歯の時期に隙間があることは、実は「将来の歯並びにとって非常に良いこと」なのです。
今回は、なぜ乳歯の時期に隙間が必要なのか、クリニックで実際にお話しする例え話を使って解説します。
「車」と「駐車場」で考えてみましょう
このお話をする際、私はよく「歯を『車』、顎を『駐車場』」に例えてご説明しています。

1.隙間のない乳歯列(閉鎖歯列)の場合
お子さんの今の小さなお口(駐車場)に、乳歯という名の「軽自動車」がみっちりと隙間なく駐車している状態を想像してください。
今の時点では、軽自動車同士がきれいに整列していて、見た目の駐車状況はとても良く見えます。
しかし、これから成長とともに「生え変わり」が始まります。 次にやってくる大人の歯(永久歯)は、乳歯よりもずっとサイズが大きくなります。
前歯や小臼歯は「普通車」、奥歯の大臼歯は「大型車」と考えてみてください。
さて、軽自動車を停めるのにギリギリな駐車場に、これら大きな車を停めるスペースはあるでしょうか?
答えは「NO」です。
もちろん人の体は成長して駐車場(顎)自体も多少は広くなりますが、それを見越しても、軽自動車でギリギリサイズの区画のままでは、普通車や大型車は入りきらない可能性が高くなります。
結果として、車同士がぶつかったり、はみ出して斜めに停めたりせざるを得なくなります。
これが、いわゆる「ガタガタの歯並び(叢生・そうせい)」の状態です。
2.隙間のある乳歯列(空隙歯列)の場合
一方で、「すきっ歯」の状態はどうでしょうか。
これは、駐車場に軽自動車が停まっているものの、隣の車との間に十分なスペース(ドアを全開にできるくらいの余裕)が空いている状態です。
一見スカスカして見えますが、この「余裕」こそが重要なのです。
後から普通車や大型車(永久歯)がやってきても、大きな駐車スペースが確保できているため、無理なくきれいに駐車することができます。
「発育空隙」という大切なスペース
このように、乳歯列期に見られる歯と歯の間の隙間は、決して悪いものではありません
専門用語では「発育空隙」や「霊長空隙」と呼びます。
これは、将来生えてくる大きな永久歯を迎え入れるための、いわば「ゆとりとしてのスペース」のようなもの。
乳歯の段階で隙間があるということは、「将来、大人の歯がきれいに並ぶための準備が順調に進んでいる」という安心材料の一つと言えるのです。

まとめ:今の見た目だけで判断せず、プロのチェックを
「うちの子、隙間がなくてきれいな歯並びだけど、逆に心配になってきた…」
そう思われた親御さんもいらっしゃるかもしれません。
隙間がない「閉鎖歯列」のお子さんでも、顎の成長を促したり、適切な時期に矯正を行うことで、将来の歯並びをきれいに整える方法はたくさんあります。
例えば、ご家庭でできることとして「よく噛むこと」も顎の成長(駐車場の拡張)を助ける大切な要素です。
以前、よく噛む習慣と顎の成長について詳しく書いたコラムがありますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
▶ 矯正を始める前に試して!「よく噛む習慣」が顎を育てる理由
大切なのは、今の見た目の美しさだけで安心せず、「将来の生え変わりのためのスペース(駐車場の広さ)は足りているか?」という視点を持つことです。
瀬谷アクロスデンタルクリニックでは、レントゲン等を用いて永久歯の大きさや顎の状態を確認し、お子さん一人ひとりの「駐車場の混雑予想」を行います。
「将来の歯並び」について少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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