【歯科医師解説】「フッ素とIQ低下」報道の真実:最新科学動向と日本のフッ素ケア|瀬谷駅近くの歯医者・歯科|瀬谷アクロスデンタルクリニック

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【歯科医師解説】「フッ素とIQ低下」報道の真実:最新科学動向と日本のフッ素ケア

【歯科医師解説】「フッ素とIQ低下」報道の真実:最新科学動向と日本のフッ素ケア|瀬谷駅近くの歯医者・歯科|瀬谷アクロスデンタルクリニック

2025年11月17日

【歯科医師解説】「フッ素とIQ低下」報道の真実:最新科学動向と日本のフッ素ケア

はじめに:なぜ今、フッ素の安全性に注目が集まるのか

以前のコラムにて、フッ素が虫歯予防の「三本の矢」として極めて有効であることをお伝えしてきました。しかし、近年、特に米国を中心とした海外で、「フッ化物摂取と子どもの神経発達(IQ)」の関連性について、新たな科学的な議論が巻き起こっています。

皆様もニュースでご覧になったかもしれません。歯科医院として、この話題について正確で公平な情報をお伝えすることは責務だと考え、最新の学術的動向と、それに対する日本の現状をご説明します。

海外で提起された「フッ素とIQ低下」の懸念

フッ化物と神経発達の関連を指摘する研究は、主に以下の点に基づいています。

高濃度暴露の影響: 関連性を指摘する研究の多くは、水道水のフッ化物濃度が高い地域(自然由来、またはフッ素添加国)での疫学調査に基づいています。

NTP報告書の結論: 米国国家毒性プログラム(NTP)は、500本以上の研究を精査した結果、「中等度の確信度で子供のIQを下げる可能性がある」と結論づけました。これは、「高濃度フッ素に限らず、現行の推奨濃度(0.7 ppm)の水を日常的に飲用する子どもにもリスクがある」と懸念を示したものであり、海外の議論を加速させています。

米国の司法判断: 2024年9月には、米国連邦裁判所が水道水フッ素添加に対し、子どもに「不当なリスク」をもたらす可能性があるとして、行政機関に再評価を命じる判決を下しました。

これらの動向は、従来の「フッ素症(歯の見た目の毒性)」だけでなく、外見では分からない脳への影響が科学的に懸念されていることの表れです。

【重要】日本のフッ素利用の現状と安全性

海外の報道は衝撃的ですが、日本のフッ素利用の状況は海外(特に水道水フッ素化を行っている国)とは大きく異なります。冷静な対応が必要です。

日本のフッ素利用形態と海外との決定的な違い

海外、特に米国では、長年「フッ素のタブレットやドロップ(全身作用の経口処方薬)」が、水道水にフッ素が含まれない地域の子ども向けに医師や歯科医師によって処方されてきました。これはフッ素を飲み込んで全身に取り込むという「全身応用」の代表例です。

日本の状況: 日本では水道水へのフッ素添加(全身応用)は実施されていません。そして、この「フッ素タブレット」のような飲み込むタイプのフッ素処方薬も、ほとんど使われていません。

海外の動向: 実はこの「フッ素タブレット」こそ、IQ低下のリスクが指摘されている研究で主要な懸念対象であり、米FDAが現在市場からの撤去措置を進めている製品です。

 

日本のフッ素利用は、主に歯の表面に作用させる「局所応用」に限定されています。これが海外との最大の違いであり、日常的なフッ素の「過剰摂取」のリスクが極めて低い理由です。

歯科医院での高濃度フッ素塗布: 高濃度ですが、年に数回の塗布で、飲み込むリスクは非常に低く、安全性は確立されています。

フッ素配合歯磨剤・洗口液: 日常的に使用しますが、推奨される使用量であれば、飲み込むフッ素量は微量に抑えられています。

日本の専門学会の見解

日本の歯科専門学会は、最新の知見を継続的に評価しています。現時点では、以下の見解が主流です。

日本小児歯科学会(2023年時点): 「フッ化物の急性あるいは慢性中毒が、歯科でフッ化物を用いた場合に生じる可能性は、適正な使用方法を守れば特に問題ないと考えられる。安全性についても、最近の知見から問題はないと判断することが合理的である。」

公正な選択のために:フッ素の代替成分を知る

フッ素に関する報道を受けて、フッ素以外の製品を選びたいという選択肢も当然生まれます。この判断をする上で重要なのは、フッ素は「毒性学」に基づき、「用量」によってその効果と安全性が決まる物質である、という大原則です。

フッ素の適切な利用とリスク管理

高濃度フッ素利用の注意点: 長期的な過剰摂取による全身的な影響が海外で懸念されています。

適切な行動: 歯科医院での塗布後、フッ素を吐き出すこと、うがいを控えることを守り、指示された間隔で利用してください。

フッ素歯磨剤利用の注意点: 特に乳幼児が歯磨き粉を大量に飲み込むリスクがあります。

適切な行動: 年齢に応じた推奨量(米粒大、グリーンピース大など)を厳守し、少量の水で軽く1回だけうがいをしてください。

フッ素に代わる選択肢:ハイドロキシアパタイト

フッ素を配合しない口腔ケア製品の多くは、歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(バイオアパタイトなど)を主成分としています。

作用メカニズム: フッ素が「歯質の強化」を行うのに対し、ハイドロキシアパタイトは歯の表面のミクロな傷を直接埋め、再石灰化を促します。また、歯垢や細菌を吸着除去する働きもあります。

安全性: 歯の成分であるため、誤って飲み込んでも安全性が高いという大きな特長があります。

効果の比較: 最新の研究では、ナノ粒子化したアパタイト製品がフッ素配合製品と同等のう蝕予防効果を示す可能性が示唆されており、有効な代替手段の一つとして注目されています。

結び:最適な予防法は、個々の判断と専門家との連携で

フッ素は、現代の科学が導き出した「最も有効で安全性の高い虫歯予防物質」であり続けます。一方で、高濃度フッ素の全身影響に対する懸念もまた、科学的議論の対象です。

大切なのは、「リスクを過度に恐れる」のではなく、「日本の環境」と「適正な使用量」を理解することです。

フッ素に関する情報は、時に製品の販売戦略として強調される側面もあります。そのため、どちらの予防法を選ぶにしても、科学的な裏付けご自身の価値観を照らし合わせて判断することが重要です。

フッ素を選ぶか、ハイドロキシアパタイトを選ぶか。どちらも科学的な裏付けのある予防法です。ご自身やご家族のリスク許容度ライフスタイルに合わせて最適な選択をするために、いつでも瀬谷アクロスデンタルクリニックにご相談ください。

参考文献・関連情報

フッ素の安全性と毒性学:
・日本小児歯科学会:「フッ化物の局所応用についての考え方」(適正な使用に関する見解)
・厚生労働省 e-ヘルスネット:フッ化物配合歯磨剤

フッ素と神経発達に関する海外動向:
National Toxicology Program (NTP) Report (2024)
U.S. Federal Court Ruling (September 2024)

フッ素代替成分(アパタイト)の科学的知見:
・東京歯科大学:ナノ粒子卵殻由来アパタイトを用いた歯面塗布法に関する研究成果(2023年)
・Clinical trial reports on the anti-caries efficacy of hydroxyapatite by researchers from Poznan University of Medical Sciences, Poland, et al.

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