【防災と歯科】命を守るオーラルケア！水がなくても使える備蓄用品リスト｜瀬谷駅近くの歯医者・歯科

2025年11月12日

セルフケア

災害時、歯磨きは「命を守る行動」になる

「もしもの時」の備えとして、食料や水、懐中電灯は準備していても、歯科用品まで意識している方は少ないかもしれません。しかし、災害時の口腔ケアの不足は、時に命に関わる大きな問題を引き起こします。

避難生活では、ストレスや水分不足、食生活の変化などから唾液の分泌が減り、お口の中の細菌が増殖しやすくなります。この細菌が原因で、持病の悪化や誤嚥性肺炎（ごえんせいはいえん）のリスクが高まることが、過去の大震災の教訓から分かっています。

過去の教訓：深刻な災害関連死のリスク 過去の大規模震災では、避難所生活が長期化する中で、体力が落ちた高齢者を中心に、口腔内の細菌が気管に入り込むことによる誤嚥性肺炎の発症が増加しました。これは「災害関連死」の原因の一つにも数えられています。歯磨きやうがいができないという「小さな問題」が、肺炎という「命に関わる問題」に直結してしまうのです。

水が限られる状況でも、お口の健康を守ることは、あなたの、そして大切な人の命を守る行動です。今回は、水を使わずに口腔ケアを可能にする、災害時にこそ活躍する歯科用品と、その賢い使い方をご紹介します。

水不足を乗り切る！「すすぎ不要」の液体歯磨きを活用

水が断水したり、飲料水を優先したりしなければならない時、通常の歯磨き粉を使うのはためらわれます。そんな時にこそ、ぜひ活用したいのが「すすぎ不要」のオーラルケアアイテムです。

液体歯磨き（デンタルリンス）のメリット

１．水の使用量がゼロに: 液体歯磨き（デンタルリンス）の多くは、ブラッシング後に水ですすぐ必要がありません。適量をお口に含み、そのままブラッシングした後、吐き出すだけで完了です。

２．殺菌効果の持続: 殺菌成分がお口の隅々まで行き渡り、長時間留まることで細菌の増殖を抑える効果が期待できます。

３．長期保存が可能な製品も: 備蓄品として、製造から5年間など長期保存を想定して開発された製品も販売されています。

※要注意！ 製品によっては、歯磨き後の「洗口液（マウスウォッシュ）」であり、すすぎが必要なものもあります。購入する際は必ずパッケージに「すすぎ不要」または「液体歯磨き」と記載されているかを確認しましょう。

歯磨きシート・口腔ケア用ウェットティッシュ

歯ブラシがない、水が全く使えない極限の状況で役立つのが、指に巻いて使う歯磨きシートです。

・水なしで歯の表面や歯ぐきを拭き取れ、物理的に汚れを減らせます。
・入れ歯の清掃や、ご高齢の方の口腔ケアにも非常に有用です。

ストックの知恵：「ローリングストック」で歯ブラシを備蓄

歯ブラシは消耗品だからこそ、備蓄品に組み込みやすいアイテムです。

１．家族人数分＋予備のストック
非常用持ち出し袋に、家族全員分の歯ブラシを入れましょう。さらに、災害時は予期せぬ場所で必要になることもあるため、少し多めにストックしておくのがおすすめです。

２．水を最大限に節約する使い方
歯ブラシがある場合でも、水は貴重です。
　・コップに少量の水（ペットボトルのキャップ1〜2杯程度）を用意します。
　・その水で歯ブラシを濡らし、歯磨き粉を付けずにブラッシングします。
　　　（研磨剤入りの歯磨き粉は、すすげない場合、かえって口内を乾燥させてしまいます）
　・歯ブラシが汚れたら、ティッシュやウェットティッシュで拭き取りながら磨き続けます。
　・最後に、残った水で2〜3回に分けて口を軽くゆすぐだけにします。

命を守る備蓄リスト：プラスワンアイテム

水が限られる状況でもお口の健康を守るために、ぜひ防災ポーチに追加しておきたいアイテムリストです。

・すすぎ不要の液体歯磨き（デンタルリンス）
　水を使わずにブラッシング後の殺菌ケアができます。長期保存可能な製品を選ぶと安心です。

・歯ブラシ（家族の人数分＋予備）
　少量の水で磨き、汚れたらティッシュで拭き取りながら使用できます。

・歯磨きシート（口腔ケア用ウェットティッシュ）
　水も歯ブラシもない状況で、歯の表面や粘膜の拭き取りに使えます。

・デンタルフロス・歯間ブラシ
　歯と歯の間など、歯ブラシだけでは届かない汚れを取り除くことで、細菌の増殖を効果的に防ぎます。

・口腔用保湿ジェル・リップクリーム
　災害時のストレスや水分不足による口の乾燥（ドライマウス）を防ぎ、粘膜を保護します。

・シュガーレスガム
　噛むことで唾液の分泌を促し、お口の自浄作用を高めます。ストレス緩和にも役立ちます。

・入れ歯洗浄剤・保管ケース（入れ歯を使用している方）
　入れ歯の衛生管理は誤嚥性肺炎の予防に直結するため、専用品の備蓄は必須です。