2025年12月03日

お子さんが遊んでいる最中に転んだり、何かにぶつかったりして、口の周りや中から血が出ているのを見ると、親御さんはパニックになってしまいますよね。
特に乳幼児期は、運動能力が発達途中のため、口の周りをケガしやすい時期です。
「うちの子の傷は大丈夫かな?」「すぐに歯医者さんに連れて行くべき?」といった不安にお応えするため、口の外傷で多い唇(くちびる)や口腔内の裂傷への親御さんができる応急処置と、受診を判断する際の目安についてお伝えします。
慌てず対応!口の外傷でまず親御さんがすべきこと
お子さんのケガの様子を見て、親御さんがパニックになると、お子さん自身も不安になってしまいます。まずは深呼吸をして落ち着き、以下の手順で状況を確認し、応急処置を行いましょう。
1.止血(圧迫が基本です)
出血している部分に、清潔なガーゼやハンカチを当てて、数分間、じっと圧迫して止血します。
・ポイント:ティッシュペーパーは傷口に繊維が残ってしまう可能性があるため、避けてください。
・口の中の傷:唾液で濡れていても、焦らず優しく押さえ続けてください。
多くの場合、数分の圧迫で出血は治まります。止血ができるかどうかは、傷の深さを判断する重要なポイントです。
2.冷やす(腫れと痛みを和らげる)
患部が腫れていたり、お子さんが痛がったりする場合は、濡らしたタオルで包んだ氷や保冷剤で優しく冷やしてあげましょう。
・ポイント:冷やしすぎると凍傷になる可能性があるため、冷たいものを直接肌に当てないように注意してください。
受診の目安:こんな時はすぐにご連絡を!
歯科医院を受診するかどうかを判断する際、親御さんが確認すべき最も大切なことは、「止血ができているか」と「受傷後しばらく経っても痛がっているか」です。
以下の症状がある場合は、自己判断せず、すぐに当クリニックまたはかかりつけの歯科医院にご連絡ください。
【特に注意が必要なケース】
【出血が止まらない】
10分以上圧迫しても出血が続く、または出血量が非常に多い場合は、すぐに受診が必要です。傷が深く、縫合が必要な可能性があります。
【痛みが続き泣きやまない】
ぶつけた直後のショックではなく、しばらく経っても(数十分以上)激しく泣き続け、触られるのを極端に嫌がる場合は、歯や顎に大きなダメージがある可能性があります。
【歯がグラグラ動いている】
歯が抜けそうになっていたり、本来の位置からずれていたりする場合は、早期の処置が必要です。
【歯が欠けた・折れた】
欠けた破片が大きい、または歯の中から出血が見られる場合は、神経の治療が必要になることがあります。
【口内や唇の傷が深い】
傷が大きく開いていたり、組織が大きく裂けていたりする場合(縫合が必要な可能性)。
【全身の異変にも注意】
【顔色や機嫌が悪い】
嘔吐、意識の混濁、顔色の悪さなど、全身状態に異変がある場合は、口の外傷だけでなく頭部のケガも疑われます。歯科だけでなく、小児科や救急も視野に入れてください。
知っておいてほしいこと:時間差で現れる症状
出血が止まり、泣きやんで機嫌が良くなった場合でも、後日歯科医院を受診した方が良いケースもあります。
なぜなら、口のケガは直後には問題なさそうに見えても、ダメージが数日〜数週間、あるいは数年〜数十年経ってから症状となって現れることがあるからです。
歯の変色:
ぶつけた衝撃で歯の神経に影響が出ると、歯の色がだんだんと灰色や黒っぽく変色してくることがあります。これは数カ月後に起こることもあれば、何年も経ってから徐々に現れることもあります。
歯ぐきの腫れ:
歯の根の先に膿が溜まり、後から歯ぐきが腫れてくることがあります。
乳歯の外傷は、将来生えてくる永久歯に影響を及ぼす可能性があります。「痛がっていないから大丈夫」と自己判断で放置せず、異変に気づいたらもちろん、特に目立った症状がなくても定期的な経過観察を続けることが、お子さんの歯を守る上で大変重要です。
まとめ:親御さんの心がけ
お子さんがケガをした時は、誰でも気が動転するものです。
・清潔な圧迫止血
・タオルで包んだ氷で冷却
・止血の状況と痛みの継続を最初の目安にする
この3点をまず落ち着いて行い、「何かおかしいな」と感じたら、いつでも当クリニックにご連絡ください。
お子さんの成長に合わせた適切な対応で、大切な歯と口の健康を守っていきましょう。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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