【症例解説】唇の裏の痛くない「プクッとした腫れ」、それ「粘液嚢胞」かもしれません|瀬谷駅近くの歯医者・歯科|瀬谷アクロスデンタルクリニック

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【症例解説】唇の裏の痛くない「プクッとした腫れ」、それ「粘液嚢胞」かもしれません

【症例解説】唇の裏の痛くない「プクッとした腫れ」、それ「粘液嚢胞」かもしれません|瀬谷駅近くの歯医者・歯科|瀬谷アクロスデンタルクリニック

2026年6月09日

お口周りの腫れや違和感には様々な原因があります。今回は、「下唇の裏にできた水ぶくれのようなものが治らない」とお悩みの方に向けて、当院でもしばしば診断を下す「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」について解説いたします。

治らない唇の水ぶくれ?よくある症状の例

当クリニックには、お口のトラブルとして以下のようなお悩みでご来院される患者様がいらっしゃいます。

・「いつの間にか下唇の内側に、水ぶくれのようなものができている」
・「痛みは特にないけれど、気になって自分で潰してしまった」
・「潰した時は小さくなるのに、しばらくするとまた同じ場所がぷっくりと腫れてくる」

お話を伺うと、過去に食事中に誤って唇を強く噛んでしまったり、スポーツや転倒で口をぶつけたりといった、ちょっとした外傷の心当たりがあることが少なくありません。

実際にお口の中を拝見すると、口唇の内側に表面が滑らかで、触ると少し柔らかい腫瘤(しゅりゅう)が確認できます。このような特徴的な経過や所見から、当院では「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」という診断を下すことがよくあります。

粘液嚢胞(ねんえきのうほう)とは?

人間の口の中には、唾液を分泌するための「唾液腺」が無数に存在しています。耳下腺などの大きな組織(大唾液腺)の他に、唇や頬の粘膜の下には「小唾液腺」と呼ばれるごく小さな唾液腺が広がっています。

粘液嚢胞とは、この小唾液腺から唾液を運ぶ管(導管)が傷つき、粘膜の下に唾液が漏れ出して溜まってしまうことで生じる腫瘤です。

もっとも多い原因は「外傷(物理的な刺激)」です。誤って唇や頬の粘膜を噛んでしまったり、歯並びや被せ物が合っておらず常に同じ粘膜に刺激が加わっていたりすることで生じます。大人だけでなく、転倒や唇を噛む癖が多いお子様にも非常に多く見られるのが特徴です。

学術的メカニズム:なぜ「自分で潰す」と再発するのか?

この症状で特に注意喚起したいのが、「ご自身で針などで潰してしまうことの危険性と無意味さ」です。これには明確な組織学的な理由(エビデンス)があります。

口唇によく見られる粘液嚢胞の多くは「粘液漏出嚢胞(ねんえきろうしゅつのうほう)」と呼ばれ、実は明確な袋状の壁(上皮)を持たない「偽嚢胞(ぎのうほう)」という状態です。 水風船のように袋の中に水が溜まっているのではなく、周囲の組織(肉芽組織)に漏れ出した唾液が囲まれて留まっているだけなのです。

そのため、表面に針を刺して唾液を抜いて一時的にしぼませても、原因となっている「唾液の漏れ口(損傷した小唾液腺)」が残っている限り、再び組織の中に唾液が供給されて確実に再発します。さらに、滅菌されていない針などで刺すことで細菌による二次感染を引き起こし、化膿して強い痛みを伴う状態に悪化するリスクがあります。

粘液嚢胞の標準的な治療法

根本的に完治させるためには、原因となっている小唾液腺を含めて摘出する「外科的切除」が、口腔外科学における標準的な治療(エビデンスに基づいたアプローチ)となります。

瀬谷アクロスデンタルクリニックでは、患者様の口腔内の状態を正確に診断した上で、病態と治療法について詳しくご説明いたします。外科処置が必要な場合、患者様のご希望や症例の難易度に応じて、近隣の総合病院や大学病院などの口腔外科へ速やかに紹介状(診療情報提供書)を作成し、適切な医療連携を図る体制を整えております。

※唇ではなく「耳の下や顎」が腫れている場合は?

今回解説した粘液嚢胞は主に唇や頬の粘膜に生じますが、もし「耳の下から顎の下」にかけて腫れや痛みがある場合は、大唾液腺(耳下腺や顎下腺など)のトラブルの疑いがあります。

細菌感染などによる「耳下腺炎」や、唾液の管に石が詰まって食事中に顎の下が腫れる「唾石症」など、腫れる部位やタイミングが異なる疾患については、以下のコラムで詳しく解説しております。ぜひあわせてご参照ください。

▶︎「耳の下が腫れた!」その原因、もしかして「唾液腺炎(耳下腺炎)」かも?

▶︎【歯科医師解説】食事中に顎の下が腫れる・痛む「唾石症」とは?

まとめ

お口の中の腫れは、「痛くないから」と放置したり、ご自身で潰したりするのは禁物です。また、長らく歯科を受診していない間に、自覚症状のない虫歯や歯周病が進行しているケースも多々あります。

お口の中の些細な変化や違和感は、お早めに瀬谷アクロスデンタルクリニックまでご相談ください。
科学的根拠に基づいた的確な診断と、患者様一人ひとりに寄り添った治療計画をご提案いたします。

【参考文献・出典】

1.日本口腔外科学会 編. 『口腔外科学』

2.公益社団法人 日本口腔外科学会 「口腔外科相談室:口の中の粘膜の病気」(粘液嚢胞の病態と治療法について)

瀬谷アクロスデンタルクリニック
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