2026年5月27日

仕上げ磨きのとき、お子さんの歯ぐきに「ニキビ」のようなできものや、プクッとした腫れを見つけたことはありませんか?
「口内炎かな?」「痛がっていないし、そのうち治るだろう」と様子を見てしまう親御さんは少なくありません。しかし、実はこれ、放置すると非常に危険な「サイナストラクト(瘻孔:ろうこう)」と呼ばれるサインかもしれません。
今回は、この歯ぐきのニキビの正体と、見つけた際に取るべき行動について解説します。
歯ぐきのニキビの正体は「顎の骨に溜まった膿(うみ)」

歯ぐきにできるプクッとした腫れ(サイナストラクト)は、虫歯の菌が歯の神経を通り越して、顎の骨まで到達してしまったことで起こる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」のサインです。
虫歯菌によって顎の骨の中で炎症が起きると、そこに膿(うみ)が溜まります。その逃げ場を失った大量の膿が、外へ出ようとして歯ぐきに抜け道(トンネル)を作った結果、出口部分がニキビのようにプクッと腫れて見えるのです。
なぜ、気づかないうちに顎の骨まで虫歯が進行するの?
「毎日歯磨きをしているのに、なぜ顎の骨に達するまで気づかなかったの?」とショックを受けられるかもしれません。しかし、子どもの歯においては以下の理由から、一気に根尖性歯周炎まで進行してしまうことが珍しくありません。
子どもの虫歯は進行が早い
乳歯や生えたての永久歯は、大人の歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く柔らかいため、虫歯があっという間に神経まで到達してしまいます。
▼詳しくはこちらのコラムをご覧ください
▶︎「子どもの虫歯は進行が早い」は本当?〜乳歯・生えたての永久歯の特徴〜
「一度治療した歯」は再感染しやすい
「ここは前に虫歯の治療をした歯だから安心」というわけではありません。一度治療して詰め物や被せ物をした歯は、実は再感染が起きやすい状態です。詰め物のわずかな隙間から再び菌が侵入し、見えない内部で虫歯が再発して神経を腐らせてしまうケースが多々あります。
神経が死ぬと「痛み」がなくなる
一番怖いのが、虫歯が神経まで到達して神経が死んでしまうと、一時的に痛みがなくなることです。痛がらないため親御さんも気づきにくく、発見が遅れてしまいます。
▼詳しくはこちらのコラムをご覧ください
▶︎【小児歯科医が警鐘】「痛くない」が一番怖い。
放置すると永久歯に悪影響も
乳歯の根っこのすぐ下には、これから生えてくる「永久歯やその種(歯胚)」が待機しています。
膿が溜まった状態を放置すると、下で待機している永久歯の色や形に変異が出たり(ターナー歯)、生えてくる方向がおかしくなったりと、将来のお口の健康に生涯にわたる悪影響を及ぼしてしまいます。
虫歯だけじゃない?まれに起こるもう一つの原因「歯根破折」
実はこのサイナストラクト(歯ぐきの腫れ)は、虫歯だけではなく「歯根破折(しこんはせつ:歯の根っこが割れてしまうこと)」の症状として現れることもあります。
ただし、乳歯における歯根破折の発生率は、小児の歯の外傷(ケガ)全体の約2%程度と、非常にまれであることが様々な研究データ(エビデンス)で示されています。これは、子どもの顎の骨が大人に比べて柔らかく弾力があるため、強くぶつけたとしても根っこが折れる前に「歯ごと動いてしまう(脱臼)」ことが圧倒的に多いためです。
だからこそ「鑑別診断」が歯を救う鍵になる
発生率が約2%と非常に低いとはいえ、ゼロではありません。転んだりぶつけたりした過去の衝撃によって見えないヒビが入り、そこから細菌が感染してサイナストラクトを形成するケースも存在します。また、永久歯に生え替わった後では破折のリスクも変わってきます。
歯ぐきが腫れている原因が「虫歯の進行(根尖性歯周炎)」なのか、「まれに起きる歯の根の割れ(歯根破折)」なのかによって、その後の治療方針は全く異なります。 原因を誤ったまま治療を進めると状態をさらに悪化させてしまうため、レントゲンや歯科用CTなどを活用して原因を正確に見極める「鑑別診断」が絶対に欠かせないのです。
歯ぐきに腫れを見つけたら、当クリニックへ!
「サイナストラクト」は、残念ながら自然に治ることはありません。
瀬谷アクロスデンタルクリニックでは、事前のしっかりとした検査・鑑別診断に基づき、なぜ腫れているのかを正確に突き止めた上で、お子様の将来の歯を守るための適切な治療を行っております。
「もしかして口内炎じゃないかも…?」「痛がっていないけど、ちょっとプクッとしている」と気づいたときは、迷わずお早めに当院までご相談ください。早期発見・正確な診断・早期治療が、お子様の健康なお口を守る一番の近道です。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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