2026年4月13日

最近、ニュースやメディアでも専門家から警鐘が鳴らされている子どもの「お口ポカン」。
テレビを見ている時、何かに集中している時、ふと気づくとお子様のお口が開いたままになっていませんか?
「ただのクセ」と見過ごされがちなお口ポカンですが、実は2018年に厚生労働省によって「口腔機能発達不全症」という病名がつけられ、健康保険での検査や指導が可能になりました。
つまり、国や小児歯科学会も警鐘を鳴らしている、放置してはいけない「疾患」なのです。
今回は、最新の疫学調査のデータも交えながら、「お口ポカン」のリスクと当クリニックでできる対策について分かりやすく解説します。
データが示す「お口ポカン」の実態:自然には治りにくい?
2021年に実施された全国の3〜12歳の子ども3,399名を対象とした大規模な疫学調査によると、日本の小児の30.7%が日常的な「お口ポカン(口唇閉鎖不全)」を示していることが明らかになりました[1]。
さらに同調査では、お口ポカンの割合は「年齢とともに増加する」ことも報告されています。
つまり、「成長すれば自然に治る」ものではなく、放置するとそのまま習慣化して改善しにくくなる可能性が高いということです。
「お口ポカン」=「口呼吸」のサイン
本来、人間の正しい呼吸は「鼻呼吸」です。鼻は優れたフィルターの役割を果たしており、吸い込んだ空気のゴミやウイルスを取り除き、加湿・加温して肺に届けてくれます。
しかし、お口がポカンと開いている状態は、このフィルターを通さない「口呼吸」になっている状態です。これが習慣化すると、次のような様々なトラブルを引き起こす原因となります。
「お口ポカン」が引き起こす4つのリスク

むし歯・歯肉炎・口臭のリスク増加
口で呼吸をすると、お口の中が乾燥して唾液が減ってしまいます。唾液には汚れを洗い流し、バイ菌の繁殖を抑える働きがあるため、乾燥することでむし歯や歯肉炎のリスクが急激に高まります。また、口臭の原因にもなります。
風邪やアレルギーなど感染症にかかりやすくなる
鼻のフィルターを通さず、冷たく乾燥した空気が直接のどや気管に入り込むため、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。感染症のリスクが高まり、風邪を引きやすくなったり、アレルギー症状が悪化しやすくなったりします。
歯並びや顔の骨格への悪影響
お口を開けたままにしていると、唇周りの筋肉(口輪筋)が発達せず、舌の位置も本来の上あごではなく下へ落ちてしまいます。この筋肉のバランスの崩れが、「出っ歯(上顎前突)」や「前歯が噛み合っていない(開咬)」といった歯並びの乱れに直結します。また、「アデノイド顔貌」と呼ばれる、特徴的な顔つきの形成に繋がることもあります。
睡眠の質低下・集中力不足
口呼吸は睡眠時の「いびき」や「睡眠時無呼吸」を引き起こす原因にもなります。しっかり熟睡できないため、「朝起きられない」「日中ボーッとしている」「落ち着きがない・集中力がない」といった、学習や日常生活への影響が出ることがあります。
なぜ「ポカン口」になってしまうの?
主な原因としては、以下の3つが考えられます。
鼻のトラブル(鼻づまりなど)
アレルギー性鼻炎や蓄膿症、アデノイド肥大などで鼻の通りが悪く、物理的に鼻呼吸ができない状態。
お口周りの筋力不足
柔らかいものばかり食べているなど、唇や舌の筋肉が十分に発達していない状態。
習慣・クセ
幼少期の指しゃぶりや、おしゃぶりの長期使用などが原因でクセになっている状態。
どうすれば改善できる?(耳鼻科と歯科のアプローチ)
お口ポカンを改善するためには、原因に合わせた適切な対応が必要です。
1.まずは「鼻呼吸ができる状態か」の確認を
アレルギー性鼻炎などがある場合は、耳鼻咽喉科での治療が優先となることもあります。鼻の通りを良くしなければ、いくら口を閉じようとしても苦しくて口呼吸に戻ってしまうためです。
2.お口の機能訓練と環境改善(当クリニックでのサポート)
鼻呼吸ができる状態にもかかわらず口が開いてしまう場合は、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)が有効となります。有名な「あいうべ体操」など、ご家庭で遊び感覚でできるお口の体操を取り入れるのもおすすめです。
あいうべ体操の詳しいやり方については、以下のコラムでも解説していますので、ぜひご家族皆さんで実践してみてください。
▶︎ 誤嚥・口臭・認知症予防に!「あいうべ体操」でお口の健康を保ちましょう
また、お口周りの筋肉を鍛え、正しい顎の成長を促すためには、日々の食事における「よく噛む習慣」も非常に重要です。ご家庭でできる具体的な工夫について以下のコラムで解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎ 矯正を始める前に試して!「よく噛む習慣」が顎を広げ、治療期間を短くするカギ
さらに当院では、お口周りの筋肉の働きを活かした小児矯正システム(NeO-Cap.System®)を2026年6月より新たに導入いたします。筋肉のバランスを整えながら自然な発育を促すことで、お口ポカンの改善と健やかな歯並びの獲得をサポートします。
おわりに:気になったら早めにご相談を
「お口ポカン」は、気づいた時に早めに対処することで、将来の歯並びや全身の健康を守ることにつながります。
「うちの子、もしかして…?」と思ったら、決して放置せず、まずは一度瀬谷アクロスデンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。お子様のお口の状態を客観的に評価し、適切なアドバイスとサポートをさせていただきます。
【参考文献】
[1] Nogami, Y., Saitoh, I., Inada, E. et al. Prevalence of an incompetent lip seal during growth periods throughout Japan: a large-scale, survey-based, cross-sectional study. Environ Health Prev Med 26, 11 (2021). https://doi.org/10.1186/s12199-021-00933-5
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