2026年6月05日
食事中に顎の下が急に腫れたり、強い痛みを感じたりしたことはないでしょうか。特に、酸味の強い食べ物を口にした際に生じる顎周りの痛みや腫れは、原因が分からず「何科を受診すべきか」と不安を抱えやすい症状です。
虫歯の痛みとは明らかに異なるため、内科や耳鼻咽喉科を検討される方も多いのですが、実は「唾石症(だせきしょう)」という唾液腺の疾患が疑われ、歯科・口腔外科で対応可能なケースが少なくありません。
本コラムでは、原因不明の顎の腫れを引き起こす唾石症のメカニズムから、歯科医院での適切な診断・処方・治療法について、医学的な根拠に基づき詳しく解説いたします。
唾石症(だせきしょう)とは何か?

唾石症とは、唾液を作る臓器である「唾液腺」や、唾液がお口の中へと流れ出る通り道(導管)に、カルシウムなどを主成分とした石(唾石)ができる疾患です。腎臓や尿管に石ができる尿路結石のお口の中バージョン、とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
唾液腺には主に耳下腺、顎下腺(がっかせん)、舌下腺の3つがありますが、唾石の約80〜90%は顎の下にある「顎下腺」で発生します。 これには、解剖学的および生理学的な明確な理由があります。
唾液の性質
顎下腺から分泌される唾液は、粘液(ムチン)を多く含み粘り気があるため、滞留しやすい性質を持っています。また、カルシウム濃度が高く、アルカリ性であるため、リン酸カルシウムが沈殿しやすくなります。
導管の構造
顎下腺からお口の中へと繋がる管(ワルトン管)は、重力に逆らって下から上へと走行しているため、唾液の流れが停滞しやすく、結石が形成される絶好の条件が揃ってしまっているのです。
見逃してはいけない唾石症のサイン(セルフチェック)
唾石症の代表的な症状には、以下のようなものがあります。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
唾疝痛(だせんつう)
食事中(特に酸味の強いものを食べた時)に顎の下が急激に腫れ、強い痛みが生じます。食後しばらくすると、唾液の分泌が落ち着くにつれて腫れや痛みが自然に引いていくのが特徴です。
顎の下のしこり
顎の下を触ると、ピンポン玉や梅干しの種のような硬いしこり(結石)を感じることがあります。
舌の下の腫れ・排膿
結石が舌の下の出口付近にある場合、その周辺が赤く腫れたり、押すと膿(うみ)が出たり、塩辛い味がすることがあります。
放置は危険?悪化した場合のリスク
「食後しばらくすれば痛みが引くから」と放置してしまうのは危険です。結石が徐々に大きくなると、唾液の通り道を完全に塞いでしまう恐れがあります。
唾液が全く排出されなくなると、顎の下が常に腫れ上がった状態になり、そこに細菌感染が加わると化膿性顎下腺炎を引き起こします。激しい痛み、発赤、高熱を伴うようになり、日常生活に大きな支障をきたすため、早期の診断と治療が不可欠です。
何科を受診すべきか?当クリニックでの対応
顎周りの不調のため「耳鼻咽喉科か内科だろうか?」と迷われる方が多いのですが、唾石症の診断や治療は歯科・口腔外科の専門領域です。
瀬谷アクロスデンタルクリニックでは、以下のようなステップで的確な診断とアプローチを行っています。
正確な画像診断
触診に加え、レントゲン撮影や歯科用CTを用いた3次元的な画像診断を行い、結石の正確な位置、大きさ、個数を把握します。
保存的治療(お薬による痛みのコントロールと自然排出)
唾石そのものを溶かす薬や強制的に排出させる特効薬は存在しませんが、まずは強い痛みや細菌感染(化膿)を抑えるために、当院にて抗生物質や消炎鎮痛剤を処方します。 炎症をコントロールしながら、顎下腺のマッサージや、酸味のある食べ物による唾液分泌の促進を図り、小さな結石であれば水圧による自然な排出を促します。
外科的治療(摘出手術):
結石が大きく自然排出が困難な場合でも、お口の中(舌の下)の粘膜を少し切開することで摘出可能なケースが多くあります。
高次医療機関との連携
結石が顎下腺の奥深く(腺体内)にあり、顎の下の皮膚からのアプローチが必要となる等の難症例の場合は、速やかに連携する大学病院等の口腔外科へご紹介し、安全で確実な治療へと繋げます。
まとめ
食事のたびに繰り返される顎の下の腫れや痛みは、決して我慢するべきものではありません。原因が分からない顔周りの不調は大きな不安を伴いますが、正確な診断によって適切に解決できる疾患です。
「もしかして唾石症かも?」と思い当たる症状がある方、または顎周りの不調でお悩みの方は、一人で抱え込まずに、まずは瀬谷アクロスデンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。
瀬谷アクロスデンタルクリニック
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